「真実の告白」

マルコの福音書 14:53ー72

礼拝メッセージ 2015.6.7 日曜礼拝 牧師:船橋 誠


1,キリストの          (おことば)をしっかりと受け取りましょう

①ペテロや弟子たちのこれからを知ってイエスはおことばを語っていました

 ペテロや弟子たちに対して、イエスは「気をつけていなさい」「目をさましていなさい」(13章)、「誘惑に陥らないように、目をさまして、祈り続けなさい」(14:38)と語っておられました。しかし、イエスの逮捕とこの裁判の場面を見ると、弟子たちはまるで何も聞いていなかったかのように、恐れ、惑い、逃げ出してしまいました。危機や試練の中で、神のことばを受け取っているのかどうかが試されることになるのです。

②ペテロは失敗してから「イエスのおことばを思い出した」のです

 ペテロの有名な主を三度否むこの出来事は、他の弟子たちにとっても同じ弱さの中にあったことを表しています。ペテロは逮捕されたイエスの様子を見届けようとしてあとを追って行きましたが、他の弟子たちは恐れをなして逃げ去ってしまったのです。そんなペテロではありましたが、彼は自分の口でイエスを否んでしまったのです。72節を見ると鶏の鳴き声とともに「イエスのおことばを思い出した」とありますが、それまで忘れていたということではなく、自分のことを知っておられるお方からのことばであるということを、しっかりと受け止めきれていなかったということでしょう。心を整えて、神のおことばをしっかりと受け取りましょう。「耕地を開拓せよ。いばらの中に種を蒔くな」(エレミヤ4:3)。


2,キリストの           (真のお姿)を学び信じましょう

①イエスは「ほむべき方の子、キリスト」であることを理解しましょう

 祭司長、長老、律法学者たちは、イエスを死罪に定めようと、様々な証言者の偽りを聞いていましたが、どれも一致する証言はなく、いらだちの思いをつのらせていたことでしょう。そして大祭司が立ち上がり、ことばの罠にかけようと誘導尋問を始めたのです。「あなたは、ほむべき方の子、キリストですか」という明白な質問に対して、驚くべきことに、イエスは「わたしは、それです」と答えられました。イエスはご自分が、油注がれた者、主であり、王であることを明言されたのです。

②イエスは「力ある方の右に座り、天の雲に乗って来る」方なのです

 さらに驚くべきイエスのおことばは続きました。「人の子が、力ある方の右の座に着き、天の雲に乗って来るのを、あなたがたは見るはずです」(62節)。大祭司はこれを聞いて、自分の衣を引き裂きましたが、これは律法を無視するパフォーマンスでした(レビ21:10)。このおことばがどれだけ彼らにとって酷い冒涜的なことばであるかを示すためでした。彼らはイエスを死罪にあたる犯罪人、被告人として見下げていたことでしょう。けれども、このイエスのおことばで示しておられることは、実は、彼らの方こそ、イエスに裁かれるべき、いのちか死に定められていく哀れな罪人にしかすぎないことを明らかにされているのです。私たちもイエスを正しく学び理解して、信じていきましょう。


3,キリストだけを           (主として)告白しましょう

①ペテロは主を告白できませんでした

 ペテロは、人を恐れ、そこを支配する空気に呑み込まれ、三度の「ノー」を言ってしまいました。ペテロの姿は真実の告白がいかに厳しく難しいことであるのかを教えてくれます。

②イエスは真実の告白をされました

 しかし、イエスはご自分がそれを語ればどうなるかをよく知った上で真実を告白されたのでした。マルコの福音書は、ローマで執筆されたと言われています。ローマ皇帝を神の子とする多神教社会の中で、イエス・キリストだけを主と告白することは、大きな危険と迫害を覚悟しなくてはならなかったことでしょう。戦後七十年を迎えた今日、イエスだけを主と言い表して生きていくことの闘いは、私たちの住む国で目立たないかたちであっても、今も起こっているのです。